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美食の街としても知られる、香港
おいしい食事のために、ここを訪れる人もいるとか。


でもお店はそれこそ星の数。ここまで来て、はずしちゃうかもしれませんよ?
ああ、どうすれば!?と思っていませんか。


大丈夫。私が、異国情緒も味わえる、信じられないくらいおいしい!お店を教えちゃいます。


地元人から親しまれる『香港ホテル』の中に!


それは、上海料理のお店、「夜上海(イエションホイ)」。
おすすめの香港のホテルの記事でも書いた、ホテル「マルコポーロ・ホンコン」の中にあります。


とても立地がよいのですよね。スターフェリー乗り場もすぐそこ。


私がここに泊まったのは偶然ですが、『地球の歩き方 香港マカオ深圳』によると、地元では「香港ホテル」と呼ばれ親しまれている有名ホテル、だそうです。


空港からホテルまで、香港に住んで何十年というマダムの日本人ガイドさんが送ってくださったのですが、ホテル名を告げると、
「ああ、『香港ホテル』のことですね。私もあそこの日本料理店によく行きます」
とのこと。


そしてこの旅、今年の3月に行ったのですけれど、実は私は、香港に来るのはなんと2回目にして、前回から約16年ぶり!


香港って、皆さんにとってどんな街ですか?


香港は1997年に中国に返還されましたが、同年の6月30日までイギリス直轄植民地でした。

私は幼年時代、特に少女時代に、リアルタイムで香港映画をたくさん観て育った世代なので、正直言ってそのイメージが強いです。あの時はああしてたなって、自分の子供の頃や青春時代に重なるからでしょうね。


私の世代より結構前になりますが、伝説の武術家であり映画スターの、ブルース・リーが今でも好きです。

それと、ごらんください!なんと5歳の少年までが、ブルース・リーのヌンチャクさばきを完コピしています。これはびっくり!



私がアジアを好きなのは、多感な時期に、一貫して観ていた香港映画の影響が大きいようです。

今考えれば、自分達とほぼ同じ顔の登場人物が、似ているようで、大きく異なる世界で活躍するのを観ていると、つかの間の違う人生を生きたかのような、不思議な気持ちになれたからなのでしょう。


そんな私が初めて香港に行ったのは20代なかば、仲間と一緒のツアー旅行で夜の宴会もあったので、楽しい反面、ディープな香港にふれたわけではなかったのでしょうか。


けれど、やっぱり本当に行ったのだなと実感した思い出がいくつか。
1つは香港人のガイドさんが、
「どうして日本人って冷たいの?」
とバスの中で怒った時に、あとででも、「冷たいんじゃなくて、あっさりしてるだけなんですよ」となぜ言わなかったんだろう、と心残りになったこと。タイミングを逃したので、最後に話しかけたら嫌な顔をされ、ショックでした。


それと、どこかをツアーの集団で歩いていたら、現地人らしいインド人に、英語で「ああ、また日本人だよ」と嘲笑ぎみに言われたこととか。


それでも最終日に、そのガイドさんに連れられていった、どこか今となっては知るよしもない上海料理のレストランで食べた、油でキラキラのビーフンが、本当はこんなに味にうるさい私の、「今までで食べた料理で一番おいしいもの」に、余裕でなってしまったことでしょうかね。


よく考えると、とぼしい機会の中でも現地人とのふれあいではあんまりいい思い出がなかったはずなのに、香港の料理のレベルって凄い!


現地の映画のポスターを見て、
「もし言葉が分かってなじめたら、楽しいだろうなあ」
と思ったことなどなど、はっきりと記憶にあります。


でもなんとなく、香港は映画の中だけでいいかなあ、と思ってからそんなに月日がたっていました。


だから香港に行くと決まった時、絶対に食事ははずしたくなかったんです。


いきなり、くらげとキュウリに驚愕!


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そしてホテルに到着、部屋から予約をしたのが、ホテル内のこの「夜上海」だったのです。
ちなみに、母と2人でした。


私は中級程度の英語ができますけれど、中国語はあいさつくらい。そう伝えたのですが、案内された席でニッコリ微笑んでくれたウエイターさんの口から発せられたのは、中国語、たぶん広東語でした。


『私は日本人です、中国語はできません』
とカタコトの中国語で言いました。
ウエイターさんはまだ若い、なかなかのイケメン。さすがはこういうホテルの人、他の人とももし交流ができたら、母と一緒に何人かで写真撮ってもらおうかな、と思ったくらいだったんですね。


ともかく彼はひき続きさわやかに微笑むと、今度は、点心のオーダーシートを持ってきて、食べたいものに印をつけてくださいと言うんですね。それがこちら。

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うーん、品数が豊富で、中国語と英語だけ
感じのいい人ですが、忙しそうですし、私は中国語が分からず、その方は英語があまり得意ではないようで、自力で料理を頼むしか。


飲茶か、普通の料理でもいいんだけどな、とコースのメニューを見ると、こちらもなんだかとても料理の数が多い。
スペシャルメニューでは10品以上で、しかも2人からOK!と書いてある。

わあっ、こんなの頼む人いるのか?いるからあるんだよね。おそるべき食欲です。


それと事実上の海外の個人旅行、しかも言葉の分からないところに来たのは久しぶりで、香港は大都会です。
楽しい一方で、だんだん緊張してきました。


これは他でもそうだったのですが、私達が席につくと、なぜか隣の席から、
『日本人だ』
『日本人だね』
という声が聞こえるのですね。それだけ分かるのですが、あとが分からない。


母はどこでもマイペース、どこでも楽しんでくれるかわりに、言っちゃ悪いけど何も分からないし、こういうところで注文するのは、私になるのです。
これ、負担なんですよ。皆さんも憶えておいてくださいね!


ところがその時、食前の軽いおつまみのようなものが出てきたのですが、これが正体がまったく分からないのに、びっくりするくらい美味!
「ちょっとォ、わけわかんないけど、凄くおいしいよ」
「これは期待できるわね」
と、いきなり感動する日本人の親子。


ついでに昼からビールを頼んで、ほろ酔いになる頃には緊張も少しほぐれ、メニューの解読も少しは楽しくなってきました。


結局、飲茶にしたのですが、母がくらげが好きなので、これを前菜に頼んだら、いきなり、驚愕のおいしさ!


日本だと、くらげは、どうしても薄切りになる場合が多いのですけれど、ここのは、もとのかたちが分かるくらいしっかりしていて、見た目の立派さも、食感もたまらない!


キュウリとあえてあるのですが、このキュウリ、こんな大都会で!?と不思議になるくらい、みずみずしいんです。


農家の方が売るキュウリをいただいた時、「キュウリってこんなに素晴らしい野菜だったんだ」と思ったのですけれど、それと同じ味がするのですよ。


味つけももちろん絶妙。
「お母さん、こんなにおいしいくらげとキュウリ、初めて食べるわ」
「私も!」
と、今度は興奮の渦にまきこまれる親子です。


映画の中にいるみたい!?本物の香港



それと、まわりを見て思いました。ここはもの凄く広い場所ではないのですけれど、とにかくいっぱい。あと、来ている方々が、非常にいい顔をしていらっしゃいます。


中華料理は、本当は大勢で食べるものなんですね。若い人からシニア世代の人まで、大きめのテーブルを囲み、たくさんの料理を頼んで、楽しそうに食べ、おしゃべりをする人々。


はりきったお洒落はしていない人が多いよう。
やはり、地元の方々が多いのではないでしょうか。このくつろぎっぷり。


それを見ていると、なんだか、香港映画の中に入りこんだような気分に。


また、香港の人は写真を撮られるのを嫌がる、と聞いたことが。最近はそうでもないらしいですけれど、ここでは凄く、嫌がられたようなんです。


母の写真を撮ろうとしたら、その後ろに写ってしまう、年配の女性から、はっきりと迷惑そうな顔をされました。
それでやめたんですが、母が私の写真を1枚撮ったのをあとで見たら、後ろにいる人が、いっせいにこっちを見ている。


迷惑なんだ、と分かってやめました。


せめて料理の写真を、と1枚だけ撮影しましたが、これも、なぜ!?って感じだった気が。とにかく他にカメラを出している人が、いないのですよ。


記念写真を撮っている人はいたのですけれど、ホテルの人に頼んで、他の人が写らない場所にグループで移動して、シャッターを切ってもらって。
ホテルの人も満面の笑顔。あれが香港流なのでしょう。


それと、行き違いで、前述のウエイターのお兄さんをプチギレさせてしまいました。


ささいなことだったんですよ。その人が忙しそうだったので、気を遣ったつもりで、他の人に追加のメニューを頼んだのです。


それがいつまでたっても来ない。
香港の前にはマカオにいたのですけれど、こっちではよくあることのようで、さいそくすると、「まだ来てないんですか」と笑顔で悪びれずに持ってくるのです。だから、『まだ来てません』という中国語をおぼえてしまいました。


それでそのウエイターさんが様子を見にきた時に、カタコトの中国語で、
『これとこれ、まだ来てません』
相手は笑顔で、
『えっ、まだ来てないんですか?』


それ以上のことが他に言いようがなかったので、英語で、上記の事情を説明したのです。

「忙しそうだから、悪いと思って他の人に頼んだんだけど。ただ、もうおなかがふくれてきたので、それはキャンセルして他の注文にできますか?」
それが全然通じなかったみたいで、実はそれまでも、英語で話されると困った顔をしたこのイケメンのお兄さんの表情が、とうとう、みるみるうちに、こわばっていったのです。


その方は奥に行って、戻ってきて、控えを見せると、
「全部あっていますよ。分かりますか」
といささかイラッとしながら言いました。私は、
「大丈夫です。追加の注文を」
とだけ答えました。


分からない言葉でペラペラ話されたら、迷惑ですよね。ただ、日本ではこういうふうにサービス業の人が感情を出すことは少ないので、ちょっとショックだったんです。


ぼおっとしていたら、上司らしい人が来て、「よかったですか?」と訊きました。


それでも、その後も出てくる料理はどれも絶品!小籠包はスープがジュワァ!で、2つ頼んでしまいました。
チャーハンなんか、あわびの味がするんですよお。しかも油でツヤツヤ。もう、噛みしめて食べました。


16年ぶりの香港、やっぱり信じられないくらいおいしい!


そこでふと、気がついたのですね。


私は今、本当に香港にいるのだなと。自分に都合のいいことばっかりは起こらない、本物の香港に。


私の幼年時代、青春時代、ひいては今の人生の基盤の一部をつくってくれた香港の一部に、今の私はなっている。少なくとも、この席を立つまで。


もう随分前のことですが、少女時代の私は、香港人ではなかった自分は不運だった、と思うくらい、香港の映画が好きだったような気がする。


あの時、どうしても香港に来られなかった私に今なら言えます。それは素晴らしい、別の人生で、きっと私が損をしているわけじゃない。


私があんなに香港映画を好きだったのは、はっきりとした、パワーのようなものが自分のどこかにもあるからかもしれませんが、同時に、映画の中の世界や人が、自分のそれらとあまりにも違っていたからだと思います。


香港はこんなに美しくて、きっと魅力的な大都会。でも私がここに生きることはなかった。


この、香港人から親しまれているというホテルと名店が、私に、いい思い出と納得をくれたのです。


ありがとう「夜上海」よ。遠いのが残念ですが、ぜひまた来たいです。


また、おうちで香港映画が観たくなりました。


それと本気で、うちに出前してくれないかな。


家で香港映画を観ながらこのお料理食べられたら死んでもいい!?かも。
駄目だろうな、食べものはいろいろ制限があるし。

最後に、このお店は予約をした方がいいようです。



言葉が通じないところに行くのはちょっと勇気がいるわ…でも香港料理を食べてみたい!そんな方には国内にある香港料理のこちらのお店をどうぞ。本場とは少し味が違うようですが、香港料理を楽しむことができます。
名駅でランチ!名古屋人によりそう香港発の名店「糖朝」