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驚きの芥川賞作家が生まれて、文学界が盛り上がってますね!

ですがその一方、活字離れ、なんて言葉をよく聞きませんか?

最近は「ほとんど読書をしたことがない」という人もけっこう増えているみたいです。

本を読んでみようかな!と思っても、それまで読書の習慣がないと、何から読んでいいか分からなかったりしますよね。

手っ取り早く○○賞受賞作品!なんて長編小説を読み始めて見たけれど、内容も登場人物も覚えきれなくて中々読み進められない…と挫折してしまう人も多いようです。

確かにいきなり長編小説はハードルが高いですよね。というより覚えておくべき情報量の多い小説は読書のとっかかりとしては少し難しい気がします。

なにごとも手初めは気楽にさくっと挑みたいものです。そこで今回おすすめするのが「ちびまる子ちゃん」で有名な漫画家、さくらももこさんのエッセイ本です!

個人的な感想をたっぷり交えつつ、ついつい肩の力が抜けてしまう気楽さや、ブラックユーモアも満載な笑えるエッセイをご紹介します。

もものかんづめ




まずご紹介するのは「もものかんづめ」です。

さくらももこさんのエッセイ本第一弾の作品です。

表紙もとってもかわいらしく手に取りやすいですよね。

今回取り上げる作品全体がそうなのですが、構成は短編のオムニバスになっています。作者の幼少期の思い出から、リアルタイムの現在の生活、出来事など幅広く書かれています。

エピソードの一つ一つは長くないので、切りのいいところで休憩しよう…と思ったらすぐ切りが出てきます(笑)


また、短編のお話なので出て来る登場人物も多くありません。

名前をや肩書を覚えるのが苦手…という方でも苦にはならないと思います。

もし忘れてしまったとしてもあまり話の進行には差し支えないかも…?


さてさて内容ですが、もものかんづめには作者の学生時代と、この本を書いていた当時のエピソードが主に書かれています。

夢見る乙女だった学生時代や、体がダルイので健康ランドでマッサージを受けた…などの、誰もが身近に感じられる話もあれば、「メルヘン翁」「サルになった日」「スズムシ算」など、一見しただけでは内容の想像がつかず「なんですかそれは!?」と興味を引かれてしまうタイトルが目次にズラリと並んでいます。

健康ランドはどなたの身近にもありますよね。

内容なんて大体想像出来る…と思ってしまう方もいるかもしれませんが、そんなことはありません!

このエピソードにはなぜか「天狗」が出てきます。

突如出現した天狗に、作者はコブラツイストまで決められてしまうのです。

健康ランド、天狗、コブラツイスト。

どうしたらこの3つの言葉が繋がるでしょうか?

不思議ですよね?それがさくらももこワールドでは見事にマッチングしてしまうんです!

メルヘン翁では、漫画やアニメでもお馴染みのちびまる子の「おじいちゃん」が登場します。

しかし実際のおじいちゃんは世間の好々爺といったイメージからは離れていたようで…

おじいちゃんのお通夜やお葬式のエピソードなのですが、何故だか作者やそのお姉さんが爆笑しているシーンがたくさんあります。

これだけを見るとちょっと不謹慎じゃないか?と思う方もいるかもしれません。しかし毒気を消化できるかどうかはあなた次第!ということで、少々ブラックながらも痛快でユーモラスなお話なのでサクサク読めます。

私などはなんの引っかかりもなく、笑いながら読み終えたものです。

この本の後書きで読者からこんな意見が届いた、と紹介されていたり、最近ではネットのレビューなどを見てようやく「あ、嫌だとか不謹慎だと思う人もいるんだ」と理解したくらいでして…。

自分が鈍感なのか世間が敏感なのかは置いておきまして、そこまで毒々しい話ではないと思いますが、題材が題材だけに賛否はあるみたいですね。


明け方のつぶやき、という話では、タイトルの通り明け方に何かがつぶやきます。

これだけだと何かホラーのような雰囲気がありますが、そんな要素は一切ありません。

それでは何が呟いているでしょうか?

極楽通い、というお話もあります。

「え!極楽!?天国!?天国に通う!?」…なんて心配はなさらずに!こちらもホラーではないのです。

ではこの世の極楽とは何処なのでしょうか?明け方のつぶやきと共に確かめてみましょう!



ちなみにこの本を店頭で買うときはお気を付けください。

うっかり「もものかんづめありますか?」なんて聞くと「え?食料品売り場行って下さい」という顔を店員さんにされます(笑)

私はそれで恥をかきました。

恥ずかしかったです。

きちんと「さくらももこさんのもものかんづめという本はありますか?」と聞きましょう。



たいのおかしら


たいのおかしら (集英社文庫)


こちらも短編オムニバスで、幼少期のエピソードもちらほら見られます。

また「消えたドーナツ」「ひろ子の揉め事」など不思議なタイトルも健在です。

歯医者に行く、というエピソードで作者は歯の治療に向かいます。

治療が怖かった作者は「笑気ガス」を使用してくれと歯科医の先生に頼みます。

笑気ガスを吸うと頭がぼんやりして治療への恐怖心がなくなるのだそうです。


さて恐怖心がなくなったのは良いのですが、作者は何故か頭の中でアラブの王様へと変貌を遂げます。
王様は女性をはべらせたくさんのフルーツまで運ばれてきます。

ぼんやりした頭でそんなことまで考えられるか?
さすが漫画家…と感心していたのも束の間、なんと脳内作者ことアラブの王は突然暗殺されてしまうのです!

一体歯医者の治療室の中でどんな要素に囲まれてアラブの王が頭に生まれたのか?

なぜ暗殺までされてしまったのか?これはもう読んでみなければ分かりませんね!

もちろん残酷な描写なんて一切ありませんのでご安心ください。


また、このエッセイシリーズの中ではよく作者のご家族の話題が出されるのですが「心配をかける姉」という話では、お姉さんについて語られています。

ちびまる子ちゃんの中では、お姉さんはしっかりものでクールなイメージがありますよね。

では実際はどうなのでしょう。

お姉さんはさくら家の第一子であり、一番上の子が親に可愛がられて、お金もかけられて…なんて、兄弟姉妹がいる人の中ではよくあるお話ですよね。

実際私も第二子ですが、明らかにアルバムの写真は少ないし、おもちゃの品質も違いやしませんか…と。

そう!不公平ですよね!っと、とても共感していたのですが、いつの間にやら話はあらぬ方向に転がります。

なんでもお姉さんは成人した後もUFOや超能力などオカルトチックなものが好きだそうで、どこからともなく怪しいものを仕入れて家族に勧め始めるのだとか。

アニメの理論派のお姉ちゃん像を知っていると「え!そうなの!?」と驚いてしまうようなエピソードが満載です。

エッセイを読んでからアニメや漫画を読んでみるのもギャップがあって面白いかもしれません。

皆さんが好きなお姉ちゃんは果たしてどちらでしょうか?


上記のひろ子の揉め事、というお話ですが、言ってしまえば作者はひろ子さんのことを知りません。

本当に全く知らないんです。そして最後までひろ子さんの正体は分かりません。顔も分からないままです。では見も知らない女性の揉め事に作者はどういった経緯で首を突っ込んだのでしょうか?

それを確かめるためにも、皆さんさくらももこさんのエッセイの世界に首を突っ込んでしまいましょう!

今ご紹介しました「たいのおかしら」を書店などで探す際も、食料品売り場に案内されないようご注意くださいね。



そういうふうにできている


そういうふうにできている (新潮文庫)

こちらの作品は、上で紹介した2作品とは少しテイストが異なっています。

そういうふうにできている、は作者のさくらももこさんの妊娠・出産に関するエピソードがまとめられたものになっており、全体を通してテーマは統一されています。

とはいえ1つ1つはお話として独立しているので、やはり短編オムニバスとして楽しめます。


妊娠・出産は特に女性にとって神聖なものであり、扱いが難しいジャンルでもあると思います。

ですので「真剣な内容なのかな?」「難しいんじゃないかな?」と手に取るのをためらってしまう人もいるかと思いますが…

そんな心配はいりません!そこはやっぱり笑えるエッセイなんです。

そろそろ子供が欲しいという夫の意志をうけて動きだす作者ですが、基礎体温を付けることすら面倒臭がって積極的に動く気はない様子です。

しかし子供は天からの授かりもの。
妊活は怠け気味だった作者ですが、無事お腹に命を宿し後の話が始まっていきます。


作者は妊娠後、ベテランであろう産婦人科医のお婆さんの診察にかかりますが、計算してもらった出産予定日をいきなり「ん?間違ってんじゃないのか?ん?」と疑ってみたりします。

また、妊婦によくあるという便秘にも陥りますが「今日は絶対出す」という決意のもと独自の理論で便秘解消に挑みます。

しかしお腹に赤ちゃんがいるのだからあまり力んでは駄目か…!?と葛藤しトイレに閉じこもってみたり…

妊婦だからこそ考えなくてはならないことや、直面する事態に作者は思わぬ方法で立ち向かい、そして笑わせてくれます。

出産予定日が近づいてくると、作者は帝王切開をするかもしれないとお医者さんに言われます。

自然分娩と帝王切開、どちらにも恐怖心がある作者ですが、自然分娩は痛みが長く続くのが怖い。

では帝王切開は何が怖いのか、というと「腹を切るのだから切腹だ。嫌だ」ときっぱり言い切ります。

……ちょっと待った!確かにお腹を切るから切腹なんだけど何かが違う!

あなたは武士じゃない!!

こんな風に、思わずつっこみたくなるような、間違ってはいないのだけどどこか斜め上の比喩もさくらももこさんの魅力です。

比喩表現はさらりと流してしまいがちですが、よくよく見てみるとじわりじわりと笑えてくるのです。


正直に言いますと、さくらももこさんの本ということで手に取ったものの真剣な話が苦手な私は、もしかしてお固い話のなのだろうか?と少し不安に思っていた部分もありました。

しかし産婦人科に行くことなった作者が「トレンディな病院」を探し始めたところで肩の力が抜け、基礎体温計測を怠けたいと言い出した時点でこの不安は消えて無くなりました。

吹き飛んだと言ってもいいと思います(笑)

ああ、他のエッセイシリーズと同じさくらももこさんだと確信したのです。

もちろんこういったテーマですから、他の作品に比べると哲学的な話なども少し盛り込まれています。

しかしそれが2ページ3ページ延々と続く…なんてことはなく、「お?真面目な話だな?」なんて思い始めた次の行ではほぼ必ずと言っていいほどオチをつけてくれます。

さすがです。

入りかけた力がガクっと抜けます。

娯楽として楽しみながら読んでいる内に、出産までの過程や妊婦さんの体調の変化などさらりと知識を吸収できているかもしれません。

ですが皆さんが真剣に出産、妊娠に向き合おういうとき、知識と一緒にエッセイを思い出して吹き出してしまう…なんてことにならないように気をつけなければいけないですね。


さて、今回ご紹介しましたさくらももこさんのエッセイ3作品興味を持っていただけたでしょうか?

文章が苦手だ、という方も、あまり時間がないなあ…という方も、まずは気楽に一話だけ読んでみたらいかがでしょう。

くすっと笑えたら、それが本の虫への第一歩なのです!





エッセイと一緒にアニメも楽しんじゃいましょう!


アニメちびまる子ちゃんのオープニングをダンスを楽しく踊ります!



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