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出典 http://www.meito.hayatele.co.jp/exhibition/2008/0809.htm



日本人を美しくしてくれる最強のアイテム、着物。

ふとしたきっかけで、着物に目覚める女子も多いようですね。



ただ、そのうちに必ず悩むことになるのが、着物のお手入れ、メンテナンスです。



間違ったお手入れをすると、どんなにステキな着物もだいなしに……!!


そうなんです。怖いですよね。

でも着物離れが進む中、お手入れ自体が、難しくなっているのも事実。



そこでほぼゼロから着物を学び、愛して17年めのたけいさんが、着物の洗濯を含む、
お手入れについて、あったままのことをレポートします。

「着物は洗濯するな」!?旧城下町の悉皆屋さん


着物2


こんにちは、たけいさんです。

着物歴、17年です。着つけ講師の資格を持っています。



私の父方の祖母は呉服屋の娘でしたが、遠くから、違う家業の祖父に嫁いでくれた人だったせいもあり、生前に着物の話をすることはできませんでした。


本格的に着物に興味を持ち、着つけを学び始めた時、私が持っていたのは、成人式の振袖だけでした。


つまり、ほぼゼロからのスタートだったんですね。

ただ、恵まれていたな、と思うことはあります。



父の実家は旧城下町にあり、昔は花柳界も栄えていました。

昔は、その町の若い芸者さんが、京都に出て芸妓さんになることがあったのです。



そのさい、その町の芸者さんは、芸事の試験を免除されたらしいんですね。

それくらい、皆さん、レベルが高かったんです。
着ていた着物のレベルも高かったんじゃないかな。


最近まで、当時を知る、芸者さん達がいらしてお元気な時は時々、私もすれ違っていました。

残念ながら、お座敷にあがったことはないんですけれどね。



着物3



とにかく父の実家の近くには、古い悉皆屋(しっかいや)さんがあったんです。


祖母もお世話になっていたそうで、着物ライフを始めた時に、母と一緒に挨拶に行ったんですよ。



そうしたら、その後、着物のお手入れというか、メンテナンスはもちろん、

それをお願いする時にあわせて訊けば、コーディネートについても、分からないことは、そこの奥さんがなんでも教えてくれたんです。


本当に助かっていました。

商売っ気のない店だったんですよ――。旦那さんは他の仕事でしたし、あれは奥さんの趣味だったんですかね。



そして、そこで私は、「着物はそんなに洗うもんじゃない」と言われていたんですね。



着物のしみ抜きなんかも頼んでいて、それはやってくれたんです。


でも確か私が26歳の時、私の振袖を、丸洗いでも、どんな方法でもいいから、いっぺん、さっぱりと、きれいにしてくださいとお願いしたんですね。

思い出の、大切な振袖ですから。



詳しくは、

私の[すべての人へ!きもののレンタルで「自分の新しい美」に目覚めよう]

という記事をご覧ください。



とにかく洋服だと、少なくともそのシーズンが終わるとクリーニングに出しますよね。

そうでないと、あとで見えない汚れがういてくる場合もありますし。


そしてその振袖は、私の成人式のために買ったままで、気をつけて着ていましたから何もないように見えましたが、あとで何かあったら、と思ってそう言ったんです。



ところがその悉皆屋さんの奥さんは、いったんは振袖を預かってくれたんですが、電話をしてきて、

「よォく調べたけど、何もない。着物はそんなに洗うもんやないから、このままで大丈夫です」

と言って、返してきたんですね。


お金は何もとりませんでした。



大丈夫かな、と思ったんですが、それから16年も経った今になっても、そして買って、実に20年以上が経っても、確かに、私の振袖はきれいなままなんです。

同じことは、他の人にも言われました。



母の知っている方で、昔、芸者さんだったという方がいたんですよ。

ただその方は、それを隠そうとしていたんですね。


私はよっぽどお話を訊きたかったんですが、

「それは絶対、訊いたらあかん」

とまわりにも言われて、数年前に亡くなりました。



うちによく電話をかけてきて、一度、偶然、うどん屋さんの前でお会いしたんですが、

「まあ、あなたが竹井さんの娘さん」

と言って、立ち上がって手を握ってくださいました。


私はその時、訊かなくてよかったんだな、と分かりました。



その方は、母が呉服屋さんから買い物をする時、

「今はこんな質素なお洋服やけど、この人は、竹井さんの奥さんや。ようけ負けたりなさい」

と間にたって言ってくださって、そのおかげで、うちはたくさん負けてもらったばかりか、本当に高級な風呂敷までもらったんですね。



その方も、母に常々、

「着物はそんなにさわるもんやないよ。さわるなら、手を洗ってから、ちょっとにしなさい。なかなか洗えないものだからね」

と言っていました。


それを母から聞いてなおさら、私は、着物を、おいそれとさわれない、洗えない人間になったような気がします。

着物4

話を悉皆屋さんに戻しますね。


ある時は、デパートで言えないくらい安く買った反物を、そこで仕立ててもらったら、反物の5倍の料金を払うことになりました。

また、大丈夫かな!?と思ったんですよ。



ところが数年後、非常に有名な銀座の呉服屋で、その着物を着ていたら、

「こんなに丁寧な仕立ては今どき、なかなかない」

と褒められたんですね。


他にもいろいろで、デキるお店だったんですね。


ペースはのんびりだったんですけれど、そこに相談すれば、凄くきちんとした仕事をしてくれるし、余分なお金はとらない、

何より、アドバイスを守っていれば恥をかかないで済む、まさに頼れる存在でした。


ですが、その店はもうないんですよ。

高齢だからということでしたが、着物離れが進んでいる時世のせいもあったでしょう。


やめる、と聞かされて、凄く困りました。

実は今でも困っています。

びっくり!私の訪問着が――!!


着物5



その後、調べまくりましたが、このあたりに悉皆屋はありませんでした。



呉服屋やデパートでも、着物のお手入れをやってくれる場合がありますが、どうしても、何か買いたくなるじゃないですか。

でも私は家業の職種もあって、なかなか着物は着られないんですよ。そんなにはいらないんです。



最近、名古屋で、凄くよさそうな悉皆屋さんを発見したのですが、遠いし、私は実家のまわり以外での車の運転ができません。


持ち運びの時に着物をどうするかだとか、あと、お互いに知らない間柄ですから、なんとなく行けずにいます。



実家のそばにはクリーニング店があって、一応、着物の丸洗いなどもやっているんです。


最近、訪問着(ほうもんぎ)を着る機会があって、一度、お手入れしておこうと、そこにお願いしたんですね。

訪問着というのは、フォーマルな着物の一種で、準礼装になります。



これもやはり京都の、紹介制の、着物の展示会で買ったもので、だいぶん、まけてもらったんですが、ぶっちゃけ、それなりに高かったんですね。


職人の方々ともお話ししていただけた貴重な機会で、楽しかったです。

大切に着ています。



着物6




ところが……聞いてください!

その訪問着を近所のクリーニング店に出したら、どうなったと思いますか。



クリーニング店の受付の女の子は、職人さんの方々の魂がこもった、そして私の大事な大事な訪問着を、ぞんざいに丸めて、洋服と一緒に、汚れもの用の箱の中につっこんだんですよ!!


ちなみにその店、この前は、伊藤(仮名)という、よそのおうちの、クリーニング後の洋服を、うちに大量にくれました。

「これで間違ってません」

と言って渡したそうなんですが、もらった背広に「伊藤」って書いてあるんです。

うちは竹井です。



さすがに謝ってきましたが、前も似たようなことがあったんです。


それに、全然違うじゃないですか。

そこまでやられると、大事な着物を預ける気にはならないです。



結局、その訪問着は、少し遠くのクリーニング店を通して、京都のどこかでお手入れしてもらいました。

ただ、これも遠いんですよね。いろいろ不便なんです。




今、この記事を書いている間にも、母は、

「遠くのお店に出した着物があるから、取りに行く」

と言って、けなげに出ていきました。


うちは最近、母も時々、着物を着るようになったんです。習い事の関係らしいです。


とにかく、今は、着物が汚れたら、その他のメンテナンスも、どうすればいいの?私が助けてって感じなんです。

着物ライフを始める女子へ


着物7


ここで着物関係の、強烈にカワイイ映像をご覧ください。

外国人の花婿のためもあるのでしょうか、結婚式の余興で、振袖で踊りまくる、お嬢さん達です。
たぶん、花嫁の友達の皆さんなんでしょうね。


なんか私、涙でてきちゃいましたよ。まぶしくて。



とにかく、何かがきっかけで、

「着物っていいな」

と知り、着物ライフを始めようとしている女子が、この記事を読んでくださっている中にもいらっしゃるのではないでしょうか。


ありがとうございます。できれば、くじけないでくださいね。

続ければ、きっと、いいこといっぱいありますから。


少なくとも、着物を着ているあなたは美しいんです。


これは本当というか、絶対なんです。



ただ、着物ライフを始めたら、始めるのと同じくらいに、お手入れというか、メンテナンスのことを考えた方がいいです。


洋服のおしゃれライフだって、洗濯やクリーニングと無縁ではいられませんよね。

それと同じことです。


本当は、いい悉皆屋さんを見つけるのが一番いいんですけれどね。

時間がかかるかもしれません。



初めての悉皆屋さんには、比較的、気軽な着物のしみ抜きを頼むなどして、自分と合いそうか、様子を見るとよいそうです。

私も、新しい悉皆屋さんを、いまだに探している状況です。



それにしても京都のとある有名な花街で、行くたびに見る悉皆屋さんがあるんですけれど、どういう方々が通っているのかな、と見るたびに、いつもうらやましいです。



着物8


多分、紹介制でしょうし、比較的身近で実は遠い場所の、永遠の謎ですね。

「着物、洗濯しちゃう!?」と訊かれたら



とにかく、中級、上級の方々でも、
「今、どうやって着物をお手入れ、メンテナンスする?」
という問題に悩んでいる方、絶対、多いはずです。



最近は、有名な着物雑誌や、着物界のオピニオンリーダーの方々も、自宅やコインランドリーでできる着物のお手入れ方法を紹介されていて、一部は、私も顰(ひそ)みに倣って、実行しています。


ただね、いわゆる「洗える着物」でない着物を、日常的に、自宅やコインランドリーで洗っちゃうレベルまでは、私は到達していないんですね。



前述のように、うちの家業柄もあって、残念ながら、私は普段は着物を着られないんですよ。

だから私が着る着物は、正絹(しょうけん)、つまり絹で、染めの着物がほとんどです。

これは趣味もあります。

京風の小紋や、あざやかな色無地が好きなんです。たまに訪問着も着ます。



だから、自分の趣味にあったものを着ていると、おきにいりの着物を自宅で洗濯するのは難しくなるんです。

ますます着る機会が減るのだろうか、と思っていました。



洗濯できる着物は、こんなに凄い!!実体験編



ところがそんな私の目からウロコだったのが、ポリエステルの着物

特に、「東レ」の「シルックきもの」ですね。


ご覧ください。


着物9


これ、その東レのシルックの着物なんですよ、


私、たけいさんの私物です。

それに京都で買った、「昔きもの」の帯などをあわせてみました。




実は、この着物自体は、ちょっと前のものになるんですね。

それこそ、17年くらい前のものじゃないかな。

うーん、「ちょっと」じゃないですね。
でもまあ、いいじゃないですか。



でもね――、この色、きれいでしょう。

これを着ると、色が白く見えるんですよ。


それに、首にまでファンデーションやおしろいをぬっても、全然、平気!!

あとで洗えばいいだけ。



今の時代、昼に外出するんだったら、首にも日焼け止めがほしいじゃないですか。

そういう時にも、助かりますね。


やっぱり、着物はあとで自宅で洗えばいいだけです。

あなたのお肌はきれいなまま。

美肌にも一役買ってくれる!?着物かもしれません。



とにかく旅行や、よそに行って、気をつかう方々のためにフォーマルな着物に着がえる時など、移動中にこれを着ていくと、本当に助かります。


移動中は何があるか分かりませんよね?
天候だってどう変わるか……。

でも、シルックの着物は、いつもあなたの味方。


なんだか、まわしものみたいですね。

でもこれは全部、私の実体験からあった話ばかりですよ。



それによく考えると、17年間も、これでいろんなところに行ったのに、全然、日焼けもしていないし、汚れても、くすんでもいない。

それがあたり前のことだと思っていたんですけれど、凄いことですよね。


それに、そんなに洗わなくても大丈夫ですよ。

季節によりますけれど、普通の着物と同じで、汗を飛ばして埃をはらい、異常がなかったら、しまえばいいだけです。


汚れたら、自宅の洗濯機で、ちょっと気をつかって洗うだけ。

それなのにずっときれいだなんて、タフでありながらいつも美しい、不思議で頼れる女性のようだ。

洗濯できる着物、こんなに凄い!!職人さんのお話編


着物10




私はその後、年齢的にも、新しい色に挑戦した方がいいだろうということで、少し前に、自分としては、まったく新しいタイプの着物を買いました。


地色はなんと黒。

洋服でもめったに着ないです。


シルックのおかげで、こういう、まったく違うものにも挑戦できます。




ただ今の私の場合、地色が黒の着物でも、どうしても色に走りがちですね。

真っ赤な帯、締めちゃったりだとか。




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とにかくその際、実感したんですけれど、今のポリエステルの着物、ひいてはシルックの技術って、凄いんですね。



皆さん、『七緒』(プレジデント社)っていう着物雑誌、知ってますよね?

私はある時、読んでいて衝撃を受けたんです。



シルックの記事だったんですけれど、職人さん達の、そのこだわり。


例えば、染める時です。



「実はシルックの染料は、見た目の色がそのまま再現されないんです


反物を染めた色を定着させるためには生地を高温で蒸すのですが、なんと、シルックの染料は、熱で色が変化してしまう!そう。



「熱を通さないと仕上がりがどんな色になるのかわからない」

「じゃあどうやって塗る色を決めるの?」

「熱で色がどう変わるか?」


なんと、数百色分のデータが取られ、詳細なカラーチャートが作成されたんです。


そのチャートが完成されるまで、なんと、15年かかったとか(参考『七緒』vol.35、2013年9月6日発行)。


ここまで追求していただくと、1つの美学ですね。

洗濯できる着物、こういう方々が着ている!!


着物11



そんな職人さん達の努力もあり、洗える着物は今や、いろいろな人が着ているそうです。


和の習い事の先生だとか、毎日着物を着る方。

あと、着物を売る職業の方々ですね。


私の知るところでは、とある高級デパートの呉服売り場の方々は、洋服も多いですが、シルックの着物を着ていらっしゃいます。

着物に関しては、何もかもを知りつくした方々。


つまり着物上級者の方々が、あえてシルックの着物を着ています。



とにかく忙しい中、いつもさっぱりとした着物を、完璧に着つけていて、いつもにこやかにイキイキと接待している皆さんを見ると、美しいな、素晴らしいなと思います。


私は諸事情で最近、着物を着ていないんですけれど、ああいう姿に憧れますね。



さっぱり、きちんとしていて、いつも美しいのは、一つの美学なんです。


いつも豪華絢爛もいいですけれど、将来、着物を頻繁に着られるようになったら、私は普段はああいう姿でいたい。



同じ職業の方々の間で、デニムの着物も注目されているそうです。

それでも新しい美を創った方々


そういうわけで、着物、家で洗濯しちゃう?しない?ですけれど、そういう理由で、私は今のところ、基本的にしないです。


でも「洗える着物」として、ここまでその利便性や、美が追求されてきたものは、もう、素晴らしいと言うしかないんじゃないでしょうかね。



いろんな人が、いろんな理由で、多くはやむを得ず、着物から離れようとしています。

でも洗える着物の美を追求してきた方々は、賛否両論あっても、時代に抵抗して、新しい、着物の美の世界を創ったんですよ。



微力ながら、この記事をその方々に捧げたいと思います。

皆さま、特にシルック関係の職人の方々の、ますますのご活躍をお祈りします。



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