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Kamil Porembiński

あなたを夢の世界にいざなう、グルメドラマ、そして本。


「孤独のグルメ」シリーズは、今秋からSeason5がスタートし、
話題になっていますね。
原作の方では、実に18年ぶり(!)になる第2弾、
『孤独のグルメ2』が発売。
これはもう夢じゃありません。奇跡です。

18年前から原作を読み、今、ドラマはもちろん、
原作の2冊を読みこんでいる私、たけいさんが「孤独のグルメ」シリーズを
とことん掘り下げます。


まだの方はこのシリーズに興味を、
もうファンの方もこのシリーズがより好きになること、うけあいです!


そもそも、1人で食事をすることにはどんなメリットがあるのでしょう?



そこまで考えました。そこまでこのグルメドラマと本をおすすめしたいです。


「孤独のグルメ」のメリットとは?


孤独のグルメ 【新装版】


「孤独のグルメ」のシリーズは、ストーリー自体はごくシンプルに聞こえるかもしれません。

主人公・井之頭五郎は個人で貿易商を営む男性です。

孤独のグルメ (扶桑社文庫)

原作の姿を見ていると、
なかなかのイケメンでまだ若いといえないこともないですが、
青年という年ではないようです。

ドラマで五郎を演じる松重豊氏も、
スーツが似合う、若々しい長身のイケメンです。



けれど、このドラマの話がきた時こう思ったそうです。



[スタッフさんには失礼な話ですけど、「誰が見るのかな?」って(笑)。だって、おっさんがひとりでご飯食べてるだけですからねぇ]
(「『孤独のグルメ』巡礼ガイド」(扶桑社)より)





そんな彼は、個人の貿易商という職業がら、仕事の帰り、また移動の途中に、
朝、昼、晩、時間と場所を問わずに、いろいろなところで、1人でご飯を食べます。

その様子を、淡々と、しかし克明に描いたのがこの作品です。


そして「孤独のドラマ」シリーズは、ドラマ、原作ともに大ヒット。

原作の漫画はすでに8言語(日本、イタリア、フランス、スペイン、ブラジル、中国、韓国、ドイツ)で出版されています。

台湾での出版に続いて今年中に中国、そしてポーランドとデンマークでの出版も決まりました。

出典http://mainichi.jp/feature/news/20150126mog00m040003000c.html



それにしても、この作品がここまで支持されている理由は、なんなのでしょうか?

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私もこのシリーズのファンですが、私が「孤独のグルメ」を好きな理由というか、感心していることが、まず1つあります。


「1人でご飯を食べる」という、時に誤解もされがちな独特の楽しみが、
ここまで、深く、きめこまかに描かれた作品、
しかも主人公が中年の男性である、という作品は、
それまでにあったのでしょうか。


作品の質の高さもさることながら、
その視点の新しさに、私は感心させられるのです。



1人でご飯を食べるというのは、
人によってはあまりよく思われない行動だそうで、
例えば隣国でも、韓国では、
そうすること自体があまり一般的ではないそうです。


中国でも、食事は大皿から取り分けて、
たくさんの人と一緒に食べるのが主流な文化ですよね?



考えてみれば日本では、家族や友達、他の人と一緒にご飯を食べる時でも、
1人分に分かれていることが多いです。


場合によりますが、1人でご飯を食べるという行為にも、
そういう国々に比べれば
そこまで社会の拒否感というのがないのではないでしょうか。
特に男性ですね。

私は女性ですが、平日の昼くらいまでなら、外でも1人でご飯が食べられます。
もっといえば、たまに一人旅に出るさい、
1人で食事をするのもいいもんだな、と思います。



さらに掘り下げていくと、私は家族の団らんが好きですけれど、
同時に、実は凄く楽しみにしている時間があります。


家族より30分くらい前に食卓について、
このために用意した、おつまみや前菜を食べながら、
ビールかワインの一杯でも飲み、1人で好きな本を読んだりすることです。

私はこの時間が大好きで、そのために凝った料理もせっせとつくります。



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この時間には団らんとは別の楽しみがあります。


それが何なのか、メリットは何なのか、と考えてみたのですが、
静かに、よりじっくりと、料理や好きなものに向かい合える
ということでしょうか。


また例をあげますと、私は友達と食事をするのも好きですが、
女友達とご飯を食べると料理の味が分からなくなることがあります。

しゃべってばかりいるからです。



本人は非常に楽しいのですけれど、
ほとんど食べないこともあるので心配されます。

でも、できないですね。ご飯をじっくり味わうことと、
おしゃべりすることの両立は、私には難しいことなんです。


他の人と一緒にご飯を食べることには、感動を共有しやすいだとか、
自分なら食べない、新しい料理のおいしさを発見できる、
というメリットがあります。



ただ、1人でご飯を食べるメリットもあるのです。


それはいってみれば、1人きりで名画とじっくり向き合う時と似ています。

そのさい、私の神経は研ぎ澄まされ、絵の細部だけでなく、
見えなかったものが浮き出てきて、作品と対話できることすらあります。

その次に、まわりの人の反応が見えます。
他の人はその絵をどう見ているかだとか、
スタッフの応対、交わした言葉です。

美術館をあとにすると、絵から得られた感動とともに、
それらが鮮烈に脳裏に焼き付きます。


これは1人でしかできない絵の味わい方であって、
どこか五郎の「孤独のグルメ」に似ていないでしょうか。



ここで改めていいたいのですが、
こういう作品は、それまでにあったのでしょうか。




作品の質の高さもさることながら、その視点の新しさに私は感心させられる
と書いたのはそういうことです。


秘話、ブレイクまでの道のり


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この作品というかシリーズは、
実はここまでブレイクするのに時間がかかっています

著者は原作が久住昌之氏、作画が谷口ジロー氏ですが、
久住氏は、先ほど引用した記事のインタビューで、こう語っておられます。




[−−97年発行の単行本は爆発的なブームにならなかった?
 3刷で絶版です。2000年に文庫本になってから売れ出して、それ以降は毎年、判で押したように年2回増刷。08年にそれが認められて、新装版を出してもらいました。僕ら老眼でもう文庫の文字読めなくなってたし(笑い)。
 最初に読んでくれていたのは40代の男性。ボクの名前も谷口さんも知らないような人。「孤独の……」が響く年ごろだったか(笑い)。文庫化された頃からインターネットが普及して、ブログで「孤独のグルメに出て来た店巡り」とか、同じものを頼んで同じセリフを言う「五郎ちゃんごっこ」をやる人が増えてきて。
 そもそも、連載してる90年代、女の人が1人で牛丼屋とかラーメン屋に行く事はまずなかったですよ。時代的に。それがだんだん、そういう人が増えてきて。時代が変わっていって、違う人が読んでくれるようになって、ということは確かですね]
出典 http://mainichi.jp/feature/news/20150126mog00m040003000c.html






久住氏のおっしゃることももっともですが、原作の『孤独のグルメ』は、
ひょっとしたら、その新しさのために、
ブレイクに時間がかかったのかもしれません。


皆が最初から褒めたたえる作品というのは、
実は、少なくとも新しいものではなく、斬新でもありません。
素晴らしくても、もっと別のものなのです。




五郎役の松重氏のなぞ


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私はこれを、原作が最初に発売された時から読んでいます。

そして、ドラマ化されると聞いた時、
ちょっと間をおいてから観てみたのですけれど、
原作の五郎だけに触れていた時間が長かったために、
正直いって最初は少し違和感がありました。


原作の五郎って、イケメンですけど、ちょっと鼻が大きいんですよね。
でもドラマの五郎は、すらっとしたきれいな鼻をしています。
そういうささいなところが。



ただ、最初から、しみじみと感心していたのが、
五郎を演じる松重豊氏の、あまりにも自然な食べっぷりです。


これは、非常に難しい役ではないでしょうか。

何しろ、作中で五郎がやっていることを客観的に見ていると、
ほとんどが、1人で、ほぼ無言で、ご飯を食べているだけなのです。

ドラマでも作品になってからは、松重氏の声で五郎の心中が語られますが、
撮影のさい、松重氏はどうされているのだろうと、不思議でなりません。


それに感心しているうちに違和感は消え、
今はドラマ、原作、両方の五郎に愛着を感じます。



このシリーズは、旅行記でもあります。
私は東京に約6年住んでいましたが、ドラマ・原作ともに、
五郎が訪れた街や界隈に、行ったことがほとんどありません。

これからもないかもしれません。
男性が1人でご飯を食べるところですから、チョイスが違うのでしょう。



長い間、原作は1巻だけでしたから、今はドラマの五郎のおかげで、
自分は行けないであろう、いろいろな場所に旅ができ、
おいしいご飯が食べられます。

今の私は、ドラマの五郎に、今度はどこに連れていってもらって、
何を食べさせてもらえるのか、非常に楽しみにしています。





奇跡!!18年ぶりの第2弾、『孤独のグルメ2』のクオリティ



冒頭に書いたように、原作の方では、実に18年ぶり(!)になる第2弾、
『孤独のグルメ2』が扶桑社から発売されました。

同じく、原作が久住昌之氏、作画が谷口ジロー氏です。




皆さん、18年前に何してました?生まれてなかった人もいますよね。

とにかく私は、この本が発売される前、だいぶバタバタしていたので、
それがひと段落したある日、


「今日は、これから何しても何食べてもいいなんて、夢みたいだな」


と思っていたんですね。



そこで久しぶりに本屋に行って、
発売されて間もないこの『孤独のグルメ2』を発見したんです。

こんなタイミングでこういう本に出合えるなんて、
やっぱり夢みたいだな、と思いました。


でもジャンルを問わず、こういう「第2弾」だとかって、難しいですよね。
作者は、もう書きたくない、描きたくない、できない
と思っていることだってあります。
長い時間が経っているならなおさら、
作風が変わっている場合も多いですから。



ところが、最初を読んでみてそのクオリティに驚愕。

18年前と今が見事につながっているんですよ!!
こんなことってあるんだ、と。


夢でなく、奇跡ですね。本当に。




こんな貴重な本をどうやって読んでいいのか分からずうろたえましたが、
その日はとりあえず、かにとアボカドのテリーヌをつくって、
ワインをそえて、何話かを読みました。


この本で五郎はパリにも行っています。
本当はそれを先に読みたかったのですけれど、
順番通りに読んでいくことに何か意味があるのかもしれない
とまで考え、そうしました。


作画の谷口ジロー氏って、「フランス政府芸術文化勲章(シュヴァリエ)」も受賞しているんですよ。



ドラマのホームページを見ると、「台湾編」の速報がありました。

皆さん、「孤独のグルメ」シリーズ、ドラマも原作も見ましょうね。
どちらも楽しめますよ。


※この記事の情報は、すべて2015年10月10日現在のものになります。