この記事の所要時間: 約 5分52秒
タイトルからしておもそぉぉぉな映画。
直木賞候補作にも選出されたこちらはミステリー文学界の魔術師 貫井徳郎氏による小説を映画化!
作者本人は「映像化は不可能」と、映画には不向きな作品だと思っていた。
監督はこの作品で長編映画デビューをはたす石川慶監督。
キャストは妻夫木聡さん、満島ひかりさん、小出恵介さん、臼田あさ美さん、市川由衣さんと豪華な面々!
誰もがうらやむ「幸せな家庭」。
エリートサラリーマンの夫・田向(小出恵介)、美しい妻、かわいらしい二人の兄妹。
そんな一家が惨殺された未解決事件を取材する記者・田中(妻夫木聡)。
被害者家族と関わりのあった人達にインタビューをおこなっていた。
おしゃべりな主婦、ママ友、同僚、学生時代の同級生、元恋人・・・
インタビューをおこなううち、さまざまな人達が証言する誰もがうらやむ「幸せな家庭」だと思っていた田向家族の外見からはかけはなれた実像が徐々に浮き彫りになる・・・
果たして真実は。
「人間は愚かな生き物なのだ」・・・
記者・田中を演じた妻夫木聡さんコメント
人間は愚かな生き物なのだ、ということにこんなにも真正面からぶつかった作品はなかなかありません。僕たちはこの泥沼に浸かることに決めました。追い込まれて、追い込まれて出た最後の命の一滴を最後まで見つめて頂ければ幸いです。何度も共演させて頂いていますが、その都度役に全力投球してきてくれる満島ひかりという女優が僕は大好きです。全力で受け止め全力で返していければいいなと考えています。愚かさを追求すること自体、愚かな行為だと思います。ですが、この映画に期待せずにはいられないこの想いこそ、人の業というべきものか。足を踏み入れてはいけないとわかっていつつも僕はこの作品と一緒に前進したいと思っています。
田中の妹・光子を演じた満島ひかりさんコメント
好んでやりたいと思う役柄ではありませんが、育った環境の中で生まれてしまった独特の愛について、存在についてを、いままでと違った風に問いかけられる予感がして、参加しようと決めました。切ないきもちが押し寄せてきて、涙してしまうこともありますが、同情なんかせずに、リラックスしてやりたいです。ほんとうの兄のように慕っている妻夫木さんがいるので、とても安心です。新しい挑戦を一緒にやれる幸せも感じます。石川監督には、ココロのままに映画を作って欲しいです。監督が嬉しくなるような芝居ができたらなぁと、誠実な姿を見ていて思っています。
石川 慶監督コメント
複雑に入り組んだプロット、一筋縄ではいかない登場人物たち、そして全体を貫く重厚なテーマ。「こういう映画が見たい」と常々思っていたものが全部詰まっている作品です。妻夫木さん、満島さんらの繊細な芝居と、この作品のために集まってくれた最高のスタッフたちとの間に、どんな化学反応が起こるのか、規格外の映画になる予感がしています。
原作者・貫井徳郎氏コメント
『愚行録』を映画に、というお話をいただいたのは、かなり意外でした。内容的にも構成的にも、映像化に向いていない作品だと認識していたからです。ところがプロデューサーと監督の熱意により、映画化が実現しました。それだけでも驚きなのに、妻夫木聡さん、満島ひかりさんという当代きっての人気と実力を兼ね備えた役者さんに演じていただけることになり、望外の幸せを味わっています。願わくは、この映画をご覧になった皆様の胸に、抜けない棘が深く刺さっておりますことを。
(上記コメント:公式サイト http://gukoroku.jp/comment/ 参照)
原作をちょこっとご紹介!
原作のストーリーを少しご紹介しましょう。あんまりバラしちゃうと映画がおもしろくなくなっちゃうので・・・少しだけ!
メインのストーリーとして進んでいくのはとある一家が惨殺された事件。
記者・田中は改めて事件の真相をさぐろうと取材をはじめる。
それと同じく、育児放棄による女児が亡くなった事件で母親が逮捕された話題。
田中が調べるうち、被害者家族の人物像が人によって全く違うことに疑問を抱きます。
夫人と大学の同期であった宮村は
「彼女はエリートグループにちやほやされており、そのエリート学生とつき合いたがっていた光子に様々な男を紹介していた」こと。
夫人は光子を利用し、自分の立場を良くするようにしていた。
光子は夫人に利用され、男たちに弄ばれていたのです。
しかしそんな事実は知らず、光子は夫人に感謝していた。
そんな話を記者にした直後、宮村は通り魔に命を奪われます。
夫もまた、エリートサラリーマンという表の顔とは別の、女癖の悪さなど悪い噂もあったよう。
そして育児放棄によって母親が逮捕された事件。
謎の女が「おにいちゃん」に向けて語りかけていた・・・この謎の女が実は惨殺された家族の夫人に大学時代利用されていた同級生であった光子。
そして記者・田中の妹であったのです。
記者・田中はたった一人の肉親の光子の罪が暴露される可能性を調べるため惨殺事件の真相をさぐり、関係者にインタビューしていた。
光子は裕福な暮らしをしていた夫人をあるときたまたま見かけました。
自分は未婚の母。
かたや同級生は裕福な暮らし、かわいい子供たち。
光子の中の何かがこわれてしまった・・・そして凶行におよんでしまった。
「世の中は不公平だ・・・」
人間の表の顔と裏の顔。他人からみた自分。他人からみた自分・・・

誰しも一度は他人を「うらやましい」「自分だったら・・・」と考えたり口にしたことがあるでしょう。
真実かどうかわからない、憶測で話をしたこともあるでしょう。
はっきり見たわけでもなく、本人から聞いたわけでもなく、
「なんだかそんな感じがした」という感覚で他人に話したこともあるでしょう。
一体誰が正解で、誰が愚かなのか。
この人だ!!と決め付けはできないでしょう。
妻夫木聡さんのコメントにあったように、
「人間は愚かな生き物なのだ」・・・と痛感する作品かもしれません。
人間の闇の部分を露骨にみてしまう。
あなたはどう感じるでしょうか。
公式HP:http://gukoroku.jp/
公開は2017年2月18日。
ぜひ劇場であなたの目で観て感じて欲しい。
Sponsored Links